流感悟道10月

 物事はどんなことでも「YesかNo」で割り切れるほど単純じゃないとつくづく思う。本来であれば「正義か悪か」なんて簡単に決められないものだ。そう考えると、マスコミ、特にテレビの報道は物事を決めつけて発信するので実に怖ろしい。最近は「イスラム国」の特集をしばしば目にするが、残虐な行為を行い、テロ活動を頻発させている悪の組織といった論調が目立つ。私だって彼らがやっているテロや人質の殺害は間違っていると思うし、許せない犯罪だと思う。言いたいのは、なぜそんな組織が力を得、勢力を拡大するようになったのか、その理由や背景に目を向ける必要が有るということだ。舞台となっているシリア、特にイラクではアメリカがフセイン政権を敵視し、徹底的な破壊を繰り返してきた。多数の民間人が犠牲となり、国家経済も破綻してしまった。それでもイラク国民はフセイン政権が打倒されて幸せになったと言えるのだろうか。聞けば、「イスラム国」への入隊を希望する人々は増え続けているとか。アメリカの先制防衛、同盟諸国の集団的自衛権行使がイラク国民にもたらしたものは絶え間ない戦渦だった。彼らにとって悪魔は誰で、悪魔をこらしめる正義は誰なのか、それを考えること抜きに「イスラム国」の問題は解決しない。そして、私たちは安倍内閣の言う集団的自衛権行使がどんな結果につながるのか想像しなければいけない。日本は米国の「同盟国」なのだから。(ま)